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ハントカジノ 出金功-尿路結石溶解療法の開発に向けて-


研究成果は、科学誌「Urolithiasis(ユゥロリシエイシス)」
2024年3月30日掲載
尿路結石は腎臓内で形成され、下降して尿管(尿の通り道)を詰まらせることにより、強烈な背部痛を引き起こす疾患です。さらに、結石に対して適切な治療が施されない場合、腎不全や尿路感染症を引き起こし、命にも危険を及ぼす可能性があります。尿路結石は、日本においては戦後食生活が欧米化するにつれて増加し、現在では約10%の人が罹患している国民病となりました。さらに、その再発率は5年で50-60%と非常に高く、新たな予防薬や再発リスクを減少させる方法の開発が重要な課題です。
尿路結石の治療法は、結石のサイズが小さい場合、自然に体外へ排出されるのを待つのが一般的です。しかし、サイズが大きい場合には衝撃波や内視鏡による破砕手術が行われます。ただし、これらの方法は既に形成された結石を処理するものであり、次の結石ができるのを防ぐ効果はありません。現在も、結石の再発を防ぐ最も効果的な方法は「十分な水分を摂取すること」であり、この予防法は約2000年前から変わっていません。
名古屋市立ハントカジノ 出金ハントカジノ 出金院医学研究科の岡田淳志准教授(腎・泌尿器科学分野)らは、2008年にマウスを使った研究で、「尿路結石が自然に消える」現象を世界で初めて確認し、この現象がマクロファージによる結石の溶解であることを明らかにしました。続く研究で、特に炎症を抑制する役割を持つM2型マクロファージが結石の予防に有効であることを発見しました。この発見は、マクロファージを対象とした新たな結石溶解治療法の開発に向けた一歩となりましたが、ヒト血液由来のマクロファージの利用には数の制限があります。そこで、このたびの研究成果は、iPS細胞から生成された大量のマクロファージを用い、これらのiPS細胞由来マクロファージが結石を溶解する能力を持つことを、岡田朋記病院助教と岡田淳志准教授が共同執筆で報告したものです。
今後、結石を溶解する治療法の開発を目指す過程で、マクロファージが結石を溶解する能力を向上させる薬剤の探索が進められる際には、iPS細胞由来マクロファージを用いた研究手法が中心的な役割を果たすことになります。このアプローチにより、無制限にマクロファージを生産できるため、効果的かつ効率的な治療法の開発が期待されます。

背景

尿路結石を溶解する治療法の開発において、マクロファージを利用し、効果的な薬剤の探索が必要です。しかし、ヒトの血液から得られるマクロファージの数には限界があり、これが創薬スクリーニングの大規模実施を妨げています。最近の研究では、様々な疾患に対する創薬スクリーニングにiPS細胞が活用されており、その結果は有望です。この技術を尿路結石の治療法開発に応用し、iPS細胞由来マクロファージを使用した実験系を構築することで、効率的な創薬スクリーニングが可能になります。これにより、結石を溶解する新しい治療法の開発に向けた大きな進歩が期待されます。

研究の成果

ヒトの血液細胞から生成されたiPS細胞を使い、複数段階のプロセスを経てマクロファージに分化させ、さらにこれらをM1マクロファージとM2マクロファージに分化させた研究を行いました。この研究では、シュウ酸カルシウム一水和物という尿路結石成分とこれらのマクロファージを共培養し、マクロファージによる結石溶解現象を観察しました。特にM2マクロファージは周囲の結晶を積極的に溶解し、M1マクロファージの最大で5.6倍の溶解率を示しました。この研究成果は、iPS細胞由来のマクロファージが尿路結石を溶解する能力を持つことを示し、尿路結石研究における新しいアプローチを提供します。

※マクロファージが結晶を処理する様子の動画は、Urolithiasis誌に掲載されています。(https://link.springer.com/article/10.1007/s00240-024-01553-8

図解

研究のポイント

  • マクロファージは尿路結石の溶解に関与しており、これを活用した予防および溶解療法の開発が可能であることが示唆されています。
  • iPS細胞由来マクロファージを用いて結石を溶解する現象が、世界で初めて実証されました。これは、尿路結石研究の新たな進展を示しています。
  • この発見により、尿路結石に関する研究に新しい解析手法が加わり、結石の予防や溶解に有効な薬剤を見つけ出すための新たなモデルが提供されました。これは、尿路結石治療の新しい道を開く可能性を持っています。

研究の意義と今後の展開や社会的意義など

尿路結石の罹患率は増加傾向にあり、十分な水分摂取以外の新たな予防策を開発することが緊急の課題となっています。iPS細胞由来マクロファージを使用した新しいモデルの開発は、尿路結石の再発予防や溶解療法に向けた創薬研究において非常に重要です。この研究アプローチにより、新しい治療薬の候補が同定された場合、iPS細胞由来マクロファージだけでなく、動物モデルや最終的にはヒトにおける治療効果の確認へと進むことが期待されます。このプロセスは、尿路結石治療法の発展に新たな道を開く可能性を秘めています。

研究助成

日本学術振興会 科学研究費助成事業(16K15692, 19H03791, 20K09562, 21K09405, 21K07803, 22H00486, 23H03039)
公益財団法人 鈴木謙三記念医科学応用研究財団(2018年度)
公益財団法人 豊秋奨学会(2023年度)
日本泌尿器科学会研究助成(第27回、2018年度)

論文タイトル

Phagocytosis model of calcium oxalate monohydrate crystals generated using human induced pluripotent stem cell‑derived macrophages
「ヒトiPS細胞由来マクロファージを用いたシュウ酸カルシウム一水和物結晶貪食モデルの作成」

著者

岡田朋記1、岡田淳志1* (*Corresponding author, 共同執筆者)、青木啓将2、小野里太智3、加藤大貴4、高瀬弘嗣5、大島茂6、杉野輝明4、海野怜1、田口和己4、濵本周造1、安藤亮介1、嶋田逸誠7、坡下真大3、岩尾岳洋3、松永民秀3、安井孝周1

1名古屋市立ハントカジノ 出金ハントカジノ 出金院医学研究科 腎・泌尿器科学分野
2名古屋市立ハントカジノ 出金ハントカジノ 出金院薬学研究科 病態解析学分野
3名古屋市立ハントカジノ 出金ハントカジノ 出金院薬学研究科 臨床薬学分野
4名古屋市立ハントカジノ 出金医学部附属東部医療センター
5名古屋市立ハントカジノ 出金ハントカジノ 出金院医学研究科 共同研究教育センター
6四日市看護医療ハントカジノ 出金 臨床検査学科
7名古屋市立ハントカジノ 出金ハントカジノ 出金院医学研究科 細胞生化学分野

掲載学術誌

学術誌名:Urolithiasis
DOI番号:https://doi.org/10.1007/s00240-024-01553-8